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教義とは？/ アイフル

[ 357] ２ちゃんねる実況中継 イスラムの教義
[引用サイト]　 http://res2ch.blog76.fc2.com/blog-entry-2787.html

愚か過ぎる・・・・
そんなくだらん下賤な思想のクソ宗教のために、
少年を薬漬けにして戦わせたり、
罪のない女子供を「聖戦」と称した自己満足の為に殺しているのか

ところで、あくまで参考の為に聞くんだが
イスラム教徒ってどうやってなるんだ？

※１
激しく同意だ
宗教なんて害悪しかないというのにな･･･

ところでもっとしっかりと批判するためにイスラム教の教えを受けようと思うんだが
一日に抱ける女の数はラマダンで絶食した日数じゃなかったっけ？

コーランのかなりはじめのほうにかいてあるよな。
ほんとイスラムの過激派と来たら、こんな教義のために罪の無い人を拉致して殺したり。許せん！

でも奴らの気持ちも、イスラムの信者になってみなければ深い部分は分からないよな？ちょっくらメッカ行ってくるわ！
１００人の処女とセックスできるとかって、自爆テロの特攻させるためにつく嘘と聞いているが・・
本当にイスラムの教義なのか？
勝手に創造したキャラクターを人間が演じ
多くの馬鹿がコスプレイヤーを取り囲んで賛美する
それが宗教というものだ
ていうか
「白ブドウを腹いっぱい食べられる」が誤訳されて
「たくさんの処女とセックル」になったんじゃなかったっけ
ここでマジレス

【イスラム教徒のなり方】
1. 2人のイスラム教徒を準備します
2. 2人の前でラーイラハイッラッラー・ムハンマドゥンラスゥドゥッラーと唱えます
3. 完成

「やっぱ辞めるわ」とか言ったら殺されちゃうから注意しようね
イスラムが糞とか言ってる奴はイスラムの事知らない奴だから外でそうゆう事言わない方がいいぞ 宗教が闘争の根本原因にはならないし原理主義者は宗教思想を問わずにいる

ちなみに７６人の美女で処女云々は解釈だった気がする
コーランに「永遠の処女」と書いてある
↓
でも毎日セックスしたら処女じゃないじゃん
↓
処女膜再生するってことにしよう
このあたりの煩悩全開な教義をキリスト教側に突っ込まれて、
イスラム教神学は「理性と信仰の分離」ということを言い出す。

で、それがヨーロッパに伝わって「哲学は神学の婢」の言葉で知られる、
トマス・アクィナスらの神学につながり、やがてはデカルトなどの近代哲学を生み出す。

つまり、エロは偉大。
聖書でも女性は基本的に悪だし、
仏教でも女性が極楽に行くためには一度男性にならないといけないし、
なんだかんだいって宗教に男女平等なんてないんです＞＜
イスラム教の教義だと処女は殺せないから、女性を死刑にする際には処刑前に
無理やり誰かと結婚（ぶっちゃけレイプ）させてから刑を執行するそうな。
とんでもねー話だ。

イスラム教徒の描いた「ペルセポリス」って本に書いてあったから多分ホント。
死んだらセックスやり放題は、大霊界の丹波さんも言ってたな。
現世に残した欲望を発散しないと、次の段階に進めないらしいわ。
>52
補い手として造ったってあるだろ。男も女も神が目的あってつくったんだろ。
アダムとイブが罪犯しただけであって、聖書の教えが女→悪なわけねーじゃん。
※52
少なくとも中世においては、女性は誘惑者であると解釈された。
だから、男から誘って不倫をしても、女性が有罪になる（誘惑したとされる）。

男女平等を説いた神学者もいるにはいた。
たとえば、「神はイヴをアダムの頭蓋骨でも足からでもなく、肋骨から作りたもうた。
これは、神が男女を本質的に平等にお作りになったということである。」とかね。
ただ、こういうのはごく少数。
現代に入って男女平等が叫ばれるようになり、教会があわてて軌道修正したというのが実際だろう。
女が悪は間違ってないぞ
まぁ男女ともに悪いとはされてるが
男と女のどっちが悪いかって言われたら女になる
こないだ処女の彼女とやった時膣痙攣になって抜けなくなりそうだった。
100人とかこいつら本気のアホですか？？

イスラームは西洋の宗教よりはいい。他の宗教が悪だと言い出さないから。イスラーム国家でも、一定以上の税金（イスラーム信者のする喜捨とほぼ同額）を納めるだけで好きな宗教でOKだし。邪教徒は皆殺し、っていう体制だった昔のキリスト教の時代に既にこれを行ってたんだから。
男尊女卑も、現代から見れば即物的な教義も
はるか昔の価値観なんだからしょうがない。
そんなこと言ったらどの宗教だって、哲学・思想だって同じようなもん。
時代の価値観に合わせて表層は解釈していくのが当然。
こんな事や、どこの思想・宗教にもいる原理主義過激派を基準にして量るなんて愚かだ。
古事記や日本書紀だって、現代からすれば大概な事が書いてあるんだぞ。

日本人は欧州と中国の間の地域に関して無知な奴が多いんで
イスラーム＝無知で原始的で野蛮なんて思っているが
実際イスラーム帝国隆盛期は文化・科学共に世界最先端で
中世ヨーロッパなんて辺境は及びもつかなかったんだぞ。

女の方が悪いというかまぁ聖書やキリスト教の考えだと原罪は女の方が重いことになってるからな
そのせいで中世の頃は人間が苦しんでるのは蛇にそそのかされたイヴのせいだという考えも多かった
それが西洋の男尊女卑には大きくかかわってる
米52の部分はイヴをかばうのではなくアダムをかばうためにもっぱら用いられる部分だね
<６７
なんにしても元は同じ宗教だけどなイスラムもキリストも
どちらが本家かで殺しあってるだけで
さらにカトリックとプロテスタントで分かれて、すごいいがみ合ってるし
日本のキリスト教はあんなもん違う宗教だ！って区別して笑ってるしな

キリストも元は新興宗教、カルト教団とされた時代があって
政治的にも戦争的にもうまく立ち回って何百とあった他の宗教を潰した事で
なりあがってきた宗教だからな
中東イスラムって科学は発達してたけど
ひとたび男女の権利意識になると実にカスだよね
男尊女卑を支えてたのが出来の悪いエロゲ並みの妄想オタとは
まあどうせ、男尊女卑自体サルの習慣が抜けないダメ人間の証なんだが…

 

[ 358] MouRa│オシム、語録｜オシムの教義
[引用サイト]　 http://blog.moura.jp/osim/

ドイツＷ杯で惨敗した日本代表は、新たにイビチャ・オシムを指揮官に迎えた。名将と呼ばれる所以はその“哲学”にあり。「走るサッカー」と形容される、オシムのサッカーの全貌を明らかにする！
日本代表はドイツＷ杯を不完全燃焼で終え、そしてまた新たなスタートを切った。監督はジーコからオシムへと代わり、選手の顔ぶれもガラリと変わった。'06年は節目の年となったが、新たに指揮官となったオシム監督は、日本代表にどんな変化をもたらしているのか？ '06年の活動を通じて検証してみたい。
▲拡大してご覧いただけますまずは、ジーコ前監督とオシム監督の就任から最初の７試合を比較してみよう。図１を見て分かるのは、若くて吸収力のある選手を多くピックアップしていたことだ。特に国内で行なわれる試合や合宿には、より多くのフレッシュな選手を召集している。日本代表の経験が少ないメンバー編成は、派手さがなく、話題性に欠き、人々の興味を惹くチームではなかったかもしれない。図２で分かる通り、ジーコ前監督時代と比較すると観客動員数も減っている。そのときの実力だけで判断すれば、他に召集されるべき選手もいただろう。「いまのチームは、日本代表らしくない」「もっといい選手がいるじゃないか？」▲拡大してご覧いただけますこうした意見を聞くこともあったが、長期的な視点でみれば、まずはオシム監督が自らの考えを多くの選手に浸透させようとしていたこと、狙いとするサッカーをどの選手が遂行できるか見極めていたことが分かる。さらに、'10年ワールドカップを見据えて、より若い選手を多く召集し、日本代表としての適性を判断していた。最終的な目標は、あくまでも'10年Ｗ杯だからだ。
では、オシム監督はどんな“教え”を選手に授けていたのだろう。走りながら考える──。これは、オシム監督が選手たちに求める要素のひとつだ。走ることはサッカーの基本だが、そこには対戦相手がいる。常に状況が変化するなかでは、一瞬の判断の遅れが致命的な失点に繋がる。また、得点を奪うためには対戦相手の裏を突く動きが必要だ。ただ闇雲に走るのではなく、考えて走ることが要求されている。ポリバレントな能力──。これもまた、オシム監督が重要視するポイントだ。ＧＫ、ＤＦ、ＭＦ、ＦＷとサッカーのポジションはおおまかに４つに分けられるが、キックオフすれば試合状況によってポジションは流動的になる。よって、各選手がより幅広いエリアでプレーする能力を備えていれば、チームとしての幅も広がる。戦い方の引き出しを多く持つことができる。相手に対応した戦い──。キックオフ後に相手の出方を観察し、それに応じて選手の配置を変更する。これもまた、オシム監督がみせた采配だ。たとえば、９月３日に行なわれたアウェーのサウジアラビア戦では、最初は４バックの布陣だったが、相手の布陣に合わせてボランチだった阿部が最終ラインに下がり、３バックに変更された。相手に力を出させない。戦況に応じて、もっとも適したシステムを採用するのがオシム監督のやり方である。
今季はドイツのブンデスリーガで10得点（３月23日現在）と絶好調。オシム監督の下でもエースＦＷとして期待される
以上の３点が、'06年の活動を通じてオシム監督が選手に求めたことだろう。違う見方をすれば、「固定したシステムで戦わず、選手たちがポジションに捕われずにプレーする」とも受け取れる。流動的な戦いぶりに、「スタイルが見えない」という意見もあるが、目指すのはどんな状況にも慌てないチームであり、世界の強豪国が相手でも対応できる柔軟なチームだ。スタイルが見えないのではなく、固定観念にとらわれた一定のスタイルを持たないのが、いまの日本代表の特徴だ。
一方で、選手たちは指揮官の教えを必死に理解しようとプレーしていた。たとえば、11月15日のサウジアラビア戦では、強固に守備を固める相手を崩すべく、最終ラインからもどんどん攻撃参加し、ゴールチャンスを作り出していた。「時にはリスクを犯して攻めなければ得点は奪えない。状況によっては、ポジションを大きく離れてもいい」選手たちはオシムの教えに対応し、柔軟な判断を見せ始めている。とはいえ、大切なのはチーム全体が連動すること。1人の動きに対して、周りの選手がしっかりとサポートすることだ。まだまだ完成形とはいかないが、今後はチームとしていかにバランスを取り、熟成させていくかが焦点になってくる。選手たちはいま、オシム監督の考えを確実に、徐々に実践している最中だ。
そんななか、'07年は欧州でプレーする選手たちが新たに加わってくる。「欧州でプレーする選手たちは、何度も言っているようにいつでも戦力として計算している。ただ、ジョーカーを最初の方に出してしまうのはいい手ではない。切り札は適切な時に使えるようにとっておくのが一番良くて、早すぎるときには使わない方がいい。切り札を切る前に、あるいは使うかどうかを決める前に、使わなくてもよくするために国内の選手を鍛えることをしなければいけない。そのうえでジョーカーを使うかどうかを考えたい」（オシム監督／'07年２月13日）７月のアジアカップでは、内容だけでなく結果が求められる。それ以前に予定される強化試合は、３月24日のペルー戦と６月のキリンカップ２試合の計３試合のみ。欧州でプレーする選手を加えて、日本代表がどんな化学反応を見せるのか。'07年はいよいよ、“真”の日本代表が始動する??。
「こちらの戦い方をあらかじめ決めることはできない。基本的な約束事はあるが、試合が始まって相手が変化したなら、こちらも変化する。柔軟に対応することが大切。われわれには『こう』という最初の形はない」
３バックで戦うのか、４バックなのか。現在の日本代表のシステムは、試合が始まってみなければ分からないケースがある。９月に行われたサウジアラビア、イエメンとのアウェイ２連戦では、４バックの形でスタートしたが、開始直後に３バックへと変更した。それだけでなく、中盤や前線でも各選手が激しく動き、流動的な戦いをみせる。対戦相手はもちろん、観戦するわれわれも選手の動きを掴むのが難しく、システムの確認、マークの確認作業に追われる。試合後に取材ノートを見ると、２つも３つもシステムがメモされていることがある。
▲拡大してご覧いただけます システムや戦術が激しく変化する??。実はこの点が、現在の日本代表が進もうとしている道を示すポイントだ。なかでも、インド戦では試合中に様々な動きがあった(図１)。まずは、90分間のなかで日本代表がどれだけ戦い方を変えたのか、選手たちの役割がどう変化していったのかを振り返ってみたい。
試合開始直後のシステムは、阿部勇樹をリベロとした３-４-３だった。インドの４-４-２に対して、２トップを水本裕貴、今野泰幸のＤＦでマークし、中盤では４対４の構図を形成。ＦＷは相手の４バックに対して、中央に巻誠一郎が入り、右に播戸竜二、左に山岸智のウイングを配置し、相手のサイドバックの攻撃参加を封じる狙いがあった。同時に、両ウイングがサイドバックを引き連れて中央に絞ることで、前線の両サイドにスペースを作ることができる。そこに右サイドなら駒野友一、左サイドなら三都主アレサンドロが走り込む狙いだった。そして、この試合ではその構想が上手く機能した。立ち上がりから日本代表はボールを支配し、最終ラインの阿部、今野、水本から直接前線に長いボールを入れる。あるいは、中盤の鈴木啓太、中村憲剛を経由してサイドを突くサッカーができていた。前半のうちに２点を先制したのは、決して偶然ではなかった。
しかし、前半終了間際に予期せぬ出来事が起こった。ゴール前で相手選手と激しく競り合ったストッパーの水本が負傷し、プレー続行が不可能となったのだ。予定にはなかった選手交代を余儀なくされたのだが、試合中にどんなアクシデントがあっても、ポジションに変化があっても、パフォーマンスを低下させないことが大切だ。このとき、オシム監督には３つの選手交代の選択肢があった。候補のひとつは、ベンチにいたストッパーの山口智をそのまま起用すること。これは、もっともリスクが少ない選手交代で、記者席では『山口がいるね』という会話がすでに交わされていた。また、ふたつ目の選択肢は、試合後のオシム監督の発言から知ることができた。
「今日は負傷者による交代があったが、別のやり方を考えていた。田中(隼磨)を中盤の右サイドに起用し、駒野をストッパーで試そうと思っていた」
残念ながら実現されなかったが、水本のポジションに駒野をコンバートし、中盤の右サイドに田中隼を入れる。試合展開をみて行なうはずだった選手交代を、前倒しで実施する選択肢である。しかし、このどちらもオシム監督は採用しなかった。なぜなら、この試合で水本がマークしていたのは、インドでもっとも技術力があり、身体能力が高いバイチュン・ブティアだったからである。イングランドへのサッカー留学の経験がある相手のエースに対して、ひとつ目の選択肢だと代表デビュー戦になる山口がマークにつかなければならない。ふたつ目の選択肢だと、今度はストッパーに不慣れな駒野がマークにつかなければならない。どちらの場合も、今野とマークを入れ替わる方法はあったが、今野も本職はＭＦであり、マンマークのプレー経験は浅い。インド戦の１週間前に行なわれたガーナ戦でも、混乱した様子が窺え、通常なら犯すはずのないパスミスがあった。
山口、駒野、今野、３名のうち誰をバイチュンのマークにつけるか。オシム監督の判断は３つ目の選択肢、予想外の一手だった。水本に代えてボランチの長谷部誠を投入し、鈴木を最終ラインの中央へ。それまでリベロを務めていた阿部をストッパーに移動し、バイチュンのマークにつかせたのだ。その理由について、オシム監督は試合後にこう説明した。
「試合の立ち上がりから、最終ライン、中盤でのビルドアップができていた。ボールを運ぶときに、鈴木が役割を果たしていた。リズムを崩したくなかったので、鈴木を残した」
この言葉から、オシム監督が試合前に思い描いていた構想も想像できるだろう。後半途中から鈴木に代えて田中隼を投入し、ストッパーの今野をボランチへあげる。そして、空いたストッパーの位置に駒野を起用する予定だったと判断できる。しかし、水本の負傷でプランが崩れた。バイチュンのマークをどうするか？ 予定どおり駒野をストッパーで試すか？ 機能していた鈴木をピッチに残すか？ 非常事態にも、オシム監督は安易な答えを出さなかった。考えた結果として、阿部をリベロからストッパーへ下げ、鈴木をリベロで試すという選手交代を行なったのである。しかし、この交代は一度に３つのポジションを動かすもので、バランスを崩す危険性があった。参考として紹介すると、選手交代についてジーコ前監督はこう語っていたことがある。
「ひとつの選手交代で複数のポジションに変化が生じるのはリスクがある。バランスを考えて、同ポジションの選手を入れた」（04年春）
もちろん、まったく同じ状況ではなかったのだから、比較することはできない。しかし、ジーコ前監督とオシム監督は『静』と『動』に分けられる。勝っているときは、親善試合でもあまり動かなかったジーコ前監督に対して、インド戦でのオシム監督は動きを止めなかった。後半途中には播戸に代えて佐藤寿人を左ウイングに起用し、山岸を左サイドから右サイドへ移動させた。監督就任以来、もっともチームを動かしたといえる。
サッカーでは、90分間のなかでさまざまな出来事が起こる。負傷者や退場者が出る。対戦相手を細かく分析していたのに、いざ試合が始まったらまったく違う。また、インド戦の日本代表においては、坪井慶介、田中マルクス闘莉王という２人のＤＦをケガで欠いていた。ＤＦの駒が足らない非常事態で迎えた試合でもあった。このような局面においては、柔らかい頭、臨機応変な判断力を持っていないと対応することはできない。教えられた通りのプレーをしているだけでは、相手を上回ることはできない。だからこそ、日本サッカー界はトルシエ監督が率いていた４年間の教訓を生かし、02年Ｗ杯後にジーコ監督を招聘した。ジーコ監督は、選手たちが自主的に考え、責任感を持ってプレーすることを求めてきた。考える力のレベルアップに務めてきたはずだ。もちろん、この部分はオシム監督にも受け継がれ、引き続き強化が行なわれている。インド戦はまさに選手たちに柔軟な対応が求められた試合で、オシム監督は積極的にチームを動かした。それはまるで、『こういう状況にも対応できないとダメなんだよ』と示しているようだった。
結果はどうだったか。後半は前半ほどにリズム感のある展開はできず、逆にインドに主導権を握られる時間帯があった。前線の運動量が減ったことで、最終ライン、中盤から効果的なくさびが入らず、左右のスペースを使うことができなかった。長谷部、中村のボランチもお互いのポジションが合わず、距離が遠くなっていた。追加点は奪ったものの、「この試合に満足ならば、監督をやる資格はない」（インド戦後のオシム監督）というものだった。
ここで、オシム監督のチーム作りについて説明しておきたい。現在の日本代表は選手に『動』を、多様性(ポリバレント)を求めている。それはなぜなのか。考えることを要求するのは共通しているが、ジーコ前監督はむしろ、自分たちのスタイルにこだわり、相手に合わせることはしなかった。試合中にシステムを変更することは稀で、できるだけチームを動かさないようにしていた。対して、オシム監督は３バック、４バックにもこだわらず、『これという最初の形はない』と語る。それは安易に考えると、自分たちのスタイルがないとも受け取れるが、実態はどんな相手と戦うときも、もっとも適したシステムで戦うというコンセプトがある。相手に応じた戦いをするためだ。
「複数のポジションをこなせる選手が揃っていると、選手交代をしないでまったく違う戦い方ができる」(インド戦後のオシム監督)
▲Ｊリーグで得点王争いをする活躍が認められ、日本代表入りを果たした播戸。インド戦でも２得点と実力を発揮した
たとえば、日本代表がずっと４-４-２で戦っていたとすれば、対戦相手は日本を分析し、作戦を練ってくる。それでも、両チームに実力差があり、選手個々が１対１で負けなければ、術中にはまることなく勝利できるだろう。しかし、世界のサッカー勢力図は確実に均衡化へと向かっている。質の高い選手を揃え、自分たちのスタイルにこだわっているだけでは、世界では勝てない。ブラジルのように個々の選手の質が高ければ、自分たちのスタイルを貫くのもいい。だが現実問題として、ロナウジーニョを筆頭に多彩な攻撃陣を揃えたブラジルでさえ、先のドイツワールドカップで優勝することができなかった。高い技術力を持った選手が“魅せる”サッカーは、たしかに面白い。ところが、「現代サッカーでは、ファンタジスタが自由にプレーするのは難しい。対戦相手が激しく、厳しく潰しにくる」（オシム監督）のが現実で、相手に的を絞らせてしまうスタイルで戦うのは得策ではない。大事なのは戦況を読む力、状況に対応する力で、『そうくるなら、こう戦う』という懐の深さが求められる。２トップの相手には３バックで、１トップの相手には４バックで戦う。試合中に相手が変化すれば、こちらも変化して対応するのだ。ただ、誤解しないでほしいのは、これは受身のサッカーという訳ではない。世界の強豪からみれば格下にあたる日本は、自分たちのスタイルを貫き通して世界で勝てるほど強くはない。相手の戦術を窺いながら、自ら仕掛けるサッカーをしなければ勝てない。つまり、相手がどんなサッカーをしてきても、どんな形にも順応できるチームを作り上げなければ仕掛けられないのだ。だから、オシム監督の目指すチームには多様性を持った選手が求められているのだ。
「オシム監督のやり方は、相手に応じて対策を練るもの。試合のキーポイントというか、ツボを抑えるのがうまい」
▲拡大してご覧いただけますジェフ千葉で03年から２年間、オシム監督のもとでコーチを務めた江尻篤彦氏（現アルビレックス新潟コーチ）はかつて、こう語っていた。現在のジェフ千葉は日本代表と同じく流動的なシステムを採っているが、実はオシム監督就任当初の03年は、ちょっと違う傾向にあった。どのチームよりも選手を固定し１年間を戦っていたのだ(図２)。チーム別に選手の出場時間を比較すると、出場時間が長かった選手の数は、ジェフ千葉が１位にランクされている。つまり、試合ごとに、相手に応じてチーム編成を考えるのではなく、固定したメンバー、システムで戦っていた。いまの日本代表とは違う、どちらかといえばジーコ前監督の日本代表に近いチーム作りが進められていた。理由は簡単だ。なぜなら、当時のジェフ千葉には多様性を持った選手が少なく、相手によって戦い方を変えることができなかっただけだ。１、２年をかけてベースが作られ、徐々に戦い方にバリエーションが生まれていった結果、ジェフ千葉も多様性を兼ね備えたチームへと成長したのだ。
「チームを作るには、すごく時間がかかる。私が千葉に来たときに、いまいる選手のなかで完全にレギュラーだったのは阿部と斎藤ぐらいだ。羽生、巻、山岸、佐藤らは、みんなレギュラーではなかった。」（06年春のオシム監督）
一方、日本代表では就任当初から『形』にこだわらない強化が進められている。つまり、チーム作りのスタートラインがジェフ千葉のときよりも高いレベルで行われているのだ。阿部、佐藤勇、羽生、巻、山岸など、03年当時からオシム監督に鍛えられてきた選手たちが日本代表にいることを考えれば、それも当然だと理解できる。もとより、オシム監督は自らの考えを実践できるだろう選手を代表に呼んでいる。
「いまの地位に安穏とし、成長できない選手はプロとしてやっていけない。自分がプレーする環境もどんどん落ちていくだけだ」（06年春のオシム監督）
オシム監督は、世界を見据えた戦い方としてポリバレントが構想にあり、現段階ではその戦術の浸透に労力を費やしている。そして選手には、格上の相手の戦術に対して仕掛けるために、戦術への適応力、ポリバレントな能力が求められているのだ。ジェフ千葉で実践したチーム作りより、設置されたハードルは明らかに最初から高いのだ。しかし、その戦術が、ポリバレントな能力が備わったとき、日本代表は10年Ｗ杯で戦えるチームへと変貌しているはずだ。
アジアカップ予選のサウジアラビア戦（９月３日）、イエメン戦（９月６日）を通じて、日本代表はまたも得点力不足を露呈した。シュートがなかなか決まらないのは、いまに始まったことではない。だが、何らかの対策を講じない限り、問題の改善は望めない。オシム監督は日本サッカー界の永遠のテーマである得点力不足を、どのように改善していこうとしているのか。今回はサウジアラビア戦、イエメン戦を例に検証していきたい。
▲常に冷静なオシムだが、この２試合では何度も頭を抱え、ペットボトルを投げつけるなど苛立ちを隠せなかった
答えは簡単だ。日本代表にフランスのアンリ、ウクライナのシェフチェンコ、コートジボワールのドログバはいない。世界に誇れる絶対的エースストライカーが存在しない限り、ゴールチャンスを数多く作ることが得点への近道だ。１本のシュートで入らなければ、２本３本と放ち、ゴールを目指せばいい。無論、サッカーはゴールチャンス、シュート数を競うスポーツではない。しかし、より多くのゴールチャンスを作った方が得点に繋がる可能性は高い。
では、ゴールチャンスを作るにはどうしたらいいのか。ここでは２つのポイントを指摘してみたい。『くさび』と『クロス』である。
まずはくさびについてだが、くさびとは、最終ラインのＤＦから前線のＦＷに縦パスを入れることである。その効果としては、一度前線にボールが入ることで、次にボールを受ける選手、攻撃的ＭＦやサイドアタッカーがゴールを向いてプレーすることができる。また、くさびのパスを受けた前線の選手が１タッチ、２タッチで相手ＤＦをかわせば、一瞬のうちにゴールチャンスが生まれる。つまり、くさびのパスはあらゆる攻撃の起点になるのだ。
▲拡大してご覧いただけます 図１を見てもらいたい。２試合ともに先発の２トップは巻誠一郎(26)と田中達也(23)だったが、データは２人が誰から多くパスを受けていたかを示している。そして、攻撃の起点となる最終ラインからのパスを探すと、田中マルクス闘莉王(25)から巻への４本が最高だ。その他は巻、田中達ともにＭＦ三都主アレサンドロ(29)と遠藤保仁(26)からのパスが多く、最終ラインからの効果的なくさびは入っていない。ちなみに、これはあくまでも成功した本数で、実際にはもっと多くのくさびが前線に送られたが、残念ながら相手ＤＦにカットされるなど、失敗に終わっている。
「はっきりしているのは、（ＤＦにＦＷをマークする）優れたストッパータイプの選手が不足しているということ。きちんとボールを捌けるストッパーがいない。ボールを持ったときに、『誰かいないかな』と近くの味方ばかりを探すのではなく、対戦相手も見ないといけない」（サウジアラビア戦後のオシム監督）
▲長身FW巻へ決定的なクロスが入った場面はほとんど見られなかった一方、ＦＷ巻も所属し、イビチャ・オシム監督(65)が指揮を執っていたジェフ千葉のデータを見てみると、巻は最終ラインのストヤノフ(29)からパスを受けることが多い。Ｊリーグ全体を見渡しても、通常、パス交換は同じポジション間で行われることが多く、ＦＷ巻とＤＦストヤノフの関係は特徴的だ。巻が動き、そこに最終ラインからくさびが入る。連動してまわりの選手が反応し、巻からのパスを受ける。そうなれば、そこからサイドへ展開してもいいし、一気に相手ＤＦの裏を狙ってもいい。実際、調子がいいときのジェフ千葉はくさびがよく入る。ダメなときは、「縦パスを出すタイミングが合わず、横パスが多くなる。早い攻撃が仕掛けられなくなる」（ジェフ千葉ＤＦ・斎藤大輔）という。
次に、クロスについて検証してみたい。攻撃におけるクロスの有効性、重要度は説明するまでもないだろう。サッカーでは、サイドから攻撃を仕掛けるのが効果的で、「（オシム監督から）サイドで数的優位を作り、素早い攻撃を仕掛けろと言われてる」とは遠藤の言葉だ。
▲拡大してご覧いただけます 図２を見ると、サウジアラビア戦はクロスの本数、成功率ともに低い。１点負けていた終了間際には、前線に長身選手を集めてパワープレーを仕掛けながら、クロスを上げないシーンも見られた。成功するしない以前に、ゴール前にボールを送らなければチャンスは生まれない。ただ、その３日後に行われたイエメン戦では、両サイドの三都主と加地亮(26)の数値がアップし(図４)、チーム全体としてもクロスの本数、成功率ともに増えた。結果として、最後の最後にＤＦ坪井慶介(27)のクロスからＦＷ我那覇和樹(26)がゴールを決めることができたのだ。
とはいえ、やたらにクロスを上げればいいというわけではない。本数も重要だが、より大事なのは成功率だ。ゴール前の状況をよく判断し、クロスを上げなくては意味がないのだ。
「日本人選手には、必要のないオートマティズムが身についている。たとえば、サイドでボールを持ったらすぐにクロスを上げてしまう。ゴール前の状況を考えないでクロスを上げることがある」（サウジアラビア戦後のオシム監督）
味方が２人、３人と走り込み、ゴール前が数的優位になっているのに、サイドの選手がタテへ突破を仕掛けてしまう。ゴール前の人数が足りていないのにクロスを入れてしまう。また、パワープレーを仕掛けているのにクロスを上げないのも、状況に適した判断ではない。サウジアラビア戦、イエメン戦はもちろん、日本代表やＪリーグの試合では、そうした状況判断に疑問符のつくプレーが時折見られる。オシム監督が『考える』ことを重視するのは、当然なのである。
ここでひとつ、注目したいことがある。くさびとクロスにも密接に関係するが、攻撃的サッカーを志向するオシムが試みている、試合中の流動的なシステムの変化だ。
まずはこの２試合を、日本代表がどんな戦術で戦ったかを紹介しておきたい。図３の左図のように、日本代表はサウジアラビア戦、イエメン戦ともに、キックオフ時は４-４-２のシステムを採っていたが、両試合とも右図のように、相手の出方に応じて守備的ＭＦの阿部勇樹(25)がストッパーに下がり、両サイドバックがポジションをあげて３-５-２で戦っていた。相手が２トップだったサウジアラビア戦では阿部が完全に最終ラインに下がり、１トップ＋２シャドーだったイエメン戦では、状況に応じて阿部が最終ラインと中盤を行き来していた。最終ラインを４バックから３バックに変更していたのだ。そして、この型の３-５-２では中盤の攻撃的なポジションが非常に分厚くなる。守備的ＭＦが１人になり負担は増すが、攻撃に人数を割くことができる効果的なシステムだ。
オシムはジェフ千葉でもこのシステムを、過去に数試合で試みている。図２に示したＧ大阪戦、ＦＣ東京戦がそのひとつだ。ただ、クロスの数値をみれば、チームとしての平均値よりも低い。Ｇ大阪戦では成功率こそ高かったものの、本数は少なかった。千葉はこの２試合ともに敗れているが、その他にも、同じシステムで戦った試合の勝率は低い。攻撃的なシステムだが、オシムに長く指導を受けてきた千葉の選手たちでさえ、まだ使いこなせていないのが現状だ。もちろん、短期間でトライした日本代表もくさびが入らず、クロスの成功率も低く、試合の主導権を握りながら、なかなかゴールできなかった。それでも、新しいチャレンジをしていたのは事実である。得点力不足が指摘され続けてきた過去の日本代表とは、少し違う内容だった。
ではなぜ、オシムは選手たちが慣れていない戦術で戦ったのか。まずひとつに、阿部が最終ラインに入るシステムは、守備的ＭＦが１人になるが、攻撃の厚みは変わらない。むしろ分厚くなる。しかし、試合の最初から最終ラインに３名を起用する従来の３バックのシステムでは、守備的ＭＦを２人にする場合がほとんどであり、攻撃に厚みがなくなる。前線と攻撃的ＭＦのうち１名を削った布陣で臨まなければならない。それよりは、攻撃的に戦うため、守備的ＭＦと最終ラインのどちらでも高いレベルでプレーできる阿部を起用し、試合が始まってから柔軟に対応しようとしたのだ。
さらに紹介したいのが、「（サッカーについて）考え方を変える必要がある」（'03年春のオシム監督）という言葉だ。相手の出方に応じて試合中にシステムを変えるのは、サッカーでは普通のことだ。試合では目の前に対戦相手がいて、90分の間に状況は目まぐるしく変化する。常に状況が変化し続ける試合展開の中で、教えられた『型』にはまってプレーしていても勝利は得られない。対戦相手のレベルが高くなればなるほど、より柔軟な対応が必要になってくる。アジアレベルでは通用した『自分たちのサッカー』が、世界に出ると通用しない。過去の経験を通じて、日本サッカー界はそのことを学んできたはずだ。選手は自分たちの頭で考え、ピッチのなかで的確な判断を下さなければならない。『教えられたサッカー』をしていては、柔軟な対応はできない。一人一人が『勝つために考えてサッカーをする』ことが、オシム監督のもとでは求められているのだ。たとえ不慣れなシステムであっても、実際の試合の中でやってみなければ身に付かない。オシムは選手のレベルアップ、チームのレベルアップを考え、サウジアラビア戦、イエメン戦では新たなトライをしたのだ。
「いま現在、理想のチームができ上がってるわけではない。すぐにすべてが手に入るわけではない。それでもリスクを冒すのが大事だ」（サウジアラビア戦後のオシム監督）
「毎日、新しい要素を入れている。（自身の指導方法に）選手がついてくるのは容易ではない」（イエメン戦前日練習後のオシム監督）
オシムのサッカーは目の前の勝利を追い求めてはいない。すべては’10年Ｗ杯のため、そして、日本サッカーの未来を見据えている。
ボールをキープし、主導権を握りながら、決定機に放つシュートが決まらない。イエメン戦での日本代表は、これまでの日本代表と同じように、なかなか得点が奪えなかった。
日本サッカー界が抱える大きな問題点である決定力不足は、そう簡単に改善されるものではない。監督が変わったからといって、すぐに効果的な結果が得られるわけではない。決定力に即効性のある特効薬はない。オシム監督によって急激な進歩を遂げるのではないかと期待している人がいるなら、その考えは改めたほうがいいだろう。
もちろん、時間が掛かるからといって、ただ単に選手たちの決定力がアップするのを待っているわけではない。イエメン戦の試合前々日にはシュート練習が行われ、アウトサイドで蹴ったときのカーブの掛かり方まで指導されていた。
「シュートを打つときだけの問題じゃなく、スキルの問題だと思う。ボールを止める、蹴るが実際のプレーのなかでできないとダメ。さらには、『落ち着く』というメンタルも大事」（試合前日会見のオシム監督）
無人のゴールに放ったシュートが、枠内に飛ばない。フリーで放ったシュートが、大きくゴールバーを越えていく。なぜ、肝心のゴール前にきて、こうもミスが出るのか？ もちろん、そこには様々な理由がある。
このイエメン戦を例にあげれば、高地で心肺機能に負担が大きい、連戦による疲労、ピッチ状態の悪さなどがあげられる。オシム監督が指摘するように、『決めなければ』という気持ちが強すぎて、冷静さを失ってしまうこともあるだろう。さらに、もうひとつ付け加えておかなければならない理由がある。 ＦＷの巻、田中達のプレースタイルを考えると、運動量が多く、中盤まで下がってきてボールに触り、またゴール前へと走っていく。その繰り返しのなかで、ときおりゴールチャンスを迎えてシュートを放っている。佐藤寿、我那覇も同様に動きが多い選手たちだ。要は、シュートを放つまでに走っていることが、精度を欠く一因になっていると考えられる。
「試合には対戦相手がいるし、ピッチ状態も影響してくる。また、シュートを放つまでに、選手たちはよく走っていることも忘れてはいけない」（試合後のオシム監督）
だからといって走ることを控えれば、今度はゴールチャンスを作ることさえできなくなる。決定力を高めるのは簡単ではない。日々の反復練習、そして、試合を重ねてそのようなシュートの場面を多く経験することが重要だろう。
終了間際に１点を奪って「勝点３」を得たが、今後に険しい道のりが待ち受けていることを想像させる試合だった。
▲拡大してご覧いただけます 前半、日本代表はボールを完全に支配するものの決定力を欠いた。もっとも決定的だった場面は32分、右サイドでパスを受けた田中達がクロスを入れ、ゴール前でフリーの巻がヘディングシュートを放ったが、ゴール左に外れた。
後半はさらに攻め続けるも、得点が奪えない。71分にはフリーの遠藤がシュートを大きく外すなど、決定機を逃し続けた。すると、試合終盤にオシムはＦＷを巻、佐藤寿、我那覇の３トップにし、さらにはＤＦ闘莉王も前線に残してパワープレーに出た。サウジアラビア戦では上手く機能しなかったパワープレーだが、この試合ではその反省が生きた。後半ロスタイムに巻がヘッドで競り勝つと、我那覇が右足でゴールに流し込みゴール。日本代表は１-０で辛くも勝利した。この勝利により、日本代表はグループ２位以内が濃厚。’07年アジアカップ本選への出場をほぼ手中にした。
試合後、オシム監督はこう言葉を残した。内容から判断すれば、日本代表が勝っておかしくなかった。ボールをキープし、主導権を握っていただけでなく、ゴールチャンスも日本のほうが多かった。しかし、結果は０?１の敗戦である。なぜ、負けたのか？ そこには、日本代表、日本サッカー界が抱える問題があるとオシム監督は指摘する。
「10回パスをして、10回とも取られるのはなぜなのか？ 相手からのプレッシャーがなく、フリーでパスを出しても奪われてしまうのはなぜか。不慣れなのか、精神的な問題なのか･･･。日本のサッカーが抱える問題だ」
選手個々をみれば、技術レベルは高い。ミスパスは、単に技術の問題ではない。パスの出し手と受け手、両者の考え、動きが一致していないからで、オシムが重要視する判断力と動き、どちらも欠いていたことになる。
同様に、判断力を問われる象徴的なシーンが、終了間際にあった。１点のビハインドでロスタイムに突入し、日本代表はトゥーリオを前線に送ってパワープレーを仕掛けていた。ところが、最終ライン、中盤でパスをつないでしまい、クロスボールを入れることなく試合終了のホイッスルを聞いてしまった。
「残り数分となり、追いつくためにプレーを急いでいた。トゥーリオが前線にあがり、クロスを入れれば何かが起こる可能性があった。ところが、レフェリーが試合を終わらせるのを待つかのように後方でパスを回していた。選手たちは自己破壊を起こしていた」
厳しい指摘だが、しっかりと受け止めなければならない。ワールドカップを振り返れば、絶対に「勝点３」が必要だったクロアチア戦の終了間際に、やはり自陣でバックパスをした選手がいた。『攻めなければいけない』『ゴールをしなければ』という気持ちはあるのだろう。それを、ピッチでうまく表現できない選手がいる。それが、いまの日本代表、日本サッカー界の現状なのだ。
「今日は負けて良かったのかもしれない。もちろん、痛みがないわけじゃない。私のムネも痛いが、選手のほうが悔しいと思う」
悔しい思いをしないためには、どうすればいいか。勝負の世界では、勝った試合よりも負けた試合から学ぶことのほうが多いという。抱えている問題は、一朝一夕に改善されるものではない。いまはまだ、動き出したばかりのチームだ。問題点はどんどん出たほうがいい。一つ一つ、今後に改善点していけばいい。
前半の立ち上がりは日本のミスが目立ち、押され気味の展開。30分過ぎから三都主、田中達のドリブル突破からチャンスを作ったが、相手ＧＫの好守に阻まれて得点できず。逆にカウンターから危険な場面があったが、０−０で前半を終えた。
▲拡大してご覧いただけます 後半から日本は４−４−２から３−５−２にシステムを変更。ボランチの阿部を最終ラインに下げ、両サイドバックの加地（右）、駒野（左）を高い位置に上げた。前半に比べてワンタッチパスが増えてリズムをつかんだ。しかし、フィニッシュの精度が低くゴールを奪えず。逆に73分（後半28分）、一瞬の隙を付かれてアルドサリにゴールを許してしまう。日本はボランチの鈴木に代えて攻撃的な羽生を投入し、さらにＤＦ闘莉王を前線に上げて反撃を試みるも実らず、０−１で敗れた。
イビチャ・オシム（65）が日本代表監督に就任してから、彼の言葉や独特な練習方法がクローズアップされ、そのサッカーは「走るサッカー」「難解なパズル」「オシム・サプライズ」といった伝えられ方をしている。人は新しいものに触れると、驚き、刺激を受け、その先に何があるのか知りたくなるものだ。オシムは何を考え、日本代表をどんな方向に導こうとしているのか。いまはまだ、監督就任から１ヵ月しか経過しておらず、トリニダード・トバゴ戦（８月９日）、イエメン戦（８月16日）の２試合を消化しただけだ。しかし、短期間とはいえ練習や試合を通じて、オシムの考え、方向性を垣間見ることはできた。いよいよ動き出した新生・日本代表は、どんなチームに変貌していくのだろうか。
判断力と運動量──。簡略化して言えば、オシムが強く求めているのはこのふたつだ。そしてオシムは、そのどちらにおいても、スピーディさが重要であると強調している。
「日本人の持ち味をいかに生かすかを考えたい。日本選手の特徴は、動きが敏捷であることだ」とは監督就任会見でのオシムであり、
「練習を通じて、監督からはとにかく判断の早さを求められている」とは、イエメン戦後の川口能活（31）の言葉。
素早い判断力といっても、そこにはいろいろな要素が含まれる。ボールを持っているときはもちろん、持っていないときも常に戦況を把握し、周囲の動きをみて、的確なポジションを取らなければならない。判断と動きはリンクするもので、瞬時に判断できなければ、素早く動くこともできない。
▲拡大してご覧いただけます ‘03年から３年間、オシムが指揮を執ったジェフ千葉のサッカーを、生で観戦した人がどれだけいるだろうか？ １タッチ、２タッチで素早くパスを繋ぐサッカーは、相手にプレスをかけるスキを与えない。とくに、中盤から前線へかけてはパススピードがあがり、ポンポンとリズミカルにボールを運んでいく。別表（図�　砲鮓�てほしい。ジーコ時代の日本代表、オシム体制での日本代表、そしてジェフ千葉を比較したものだが、現状ではジェフ千葉の１タッチプレーの多さが際立っている。ジェフ千葉の選手たちは身体も小さく、高い技術力を持つ選手が揃っているわけではないが、各選手がよく走り、素早くパスを繋ぐことで、リーグ戦で常に上位争いをするようになり、’05年にナビスコカップを制する実力を身に付けていったのだ。オシムによって３年間鍛えられた結果として、ジェフ千葉はこうした数字を残すチームに仕上がった。だが、活動期間が短い代表で、素早いパス交換を可能にする判断力の向上、同じようにパスワークを生かしたチームを作り上げることができるのだろうか。
日本代表と世界の関係をみれば、日本人選手は身体が小さく、１対１の競り合いで負けることが多い。しかし、一方で敏捷性には優れている。ここにオシム指導のもと、ジェフ千葉と同じように素早い判断力、運動量を必要とする『パス・サッカー』を植えつけることができれば、世界と伍して戦うことができる。というより、素早い判断力、動きができなければ、世界と戦うことはできない。そう考えれば、日本代表はジェフ千葉と同じスタイルのサッカーを目指さざるを得ない。
「クラブと代表の違いがあるから、強化方法は変わってくると思う。だけど、目指すサッカーはジェフと同じじゃないかな」とは、ジェフ千葉で広報を務める利渉洋一氏だ。
重要なのは日頃の取り組みで、今後は日本サッカー界全体がこの方向性を意識して強化を進めることが重要だ。しかし、いったい代表の短い練習時間のなかで、どのようにしてこのスタイルを浸透させていくのか？
「（ジェフ千葉の監督に就任した）最初のころ、オシムは『スタンダードを変える必要がある』と言っていた。選手に限らず、コーチやメディカルなど、クラブに関わるすべての人間が意識を変える必要があると訴えていた」（利渉氏）
▲イエメン戦の後半。ジェフ千葉プレーし、オシムのサッカーをよく理解する羽生直剛（29）が途中出場すると、試合の流れが変わった たとえば、90分間を走り抜く体力作りについて──。当時、ジェフ千葉でフィジカルコーチを務めていた松本良一氏は、
試合翌日は通常なら軽めの練習を行なうが、フィジカル的にきつい練習を行ない、さらに身体に負荷をかける。試合数も多く、土曜日に試合があっても、水曜日に練習試合を組み、シーズンを通じて週２試合をこなす。日本サッカー界の常識では考えられない、タイトなスケジュールで練習をこなしていたのだ。
また、ときおりピックアップされる６色のビブスを使った練習も、ジェフ千葉では１年目から行なわれていた。瞬時の判断力、動きを求め、選手の頭（思考力）に負荷をかけることで、素早い判断力、思考力を養う。選手たちがひとつの練習方法に慣れてくると、すぐにメニューが変更される。常に新しい負荷をかけるという徹底ぶりだ。
同氏によれば、こうした練習を積んだ結果として、ジェフ千葉の選手たちには明確な成長が見られたという。’04年と’05年の各選手のパス成功率を比べると、驚くべきことにすべての選手の数値がアップしているという。判断力、動きといった要素は抽象的で分かりにくいが、パス成功率アップという数字を見ることで、具体的な成長を知ることができる。日頃から頭に負荷をかけていることで、プレッシャーに負けない素早い判断力が身につき、集中力が発揮できたのである。
注）ビブスとは練習着の上に着るゼッケン。一般的には実戦形式の紅白戦などで２色使うが、オシムは３対２や６対６などの練習で多色のビブスを使う。コーチ陣が指示した色のの順にパスを回すなど、集中していないと何色がどういう役割でどう動くのかが分からなくなる。瞬時に状況を判断してプレーすることが求められる。なお、８色のビブスを使用することもある。 ▲
判断力といっても、そこにはさまざまな要素が含まれる。戦況を見極める力もそのひとつだが、ここで先日行われたイエメン戦を例に見てみよう。日本代表は圧倒的にボールを支配しながら、ゴール前を固める相手をなかなか崩せず、とくに前半は攻め手を失っていた。守備を固める相手をいかに崩すか──。アジアで戦うとき、日本代表はときにそんな展開に頭を悩まされる。
イエメン戦のハーフタイムに、オシムは選手たちに強くこう告げている。相手が攻めてこないなら、臨機応変に状況判断してＤＦが攻め上がっていい。ＤＦに限らず、自分の目の前にチャンスがあれば、たとえチーム内に約束事があっても、それを破った動きをしてもいい。そもそも、何のためにサッカーをやっているのか。すべては、ゴールを奪って勝利するためである。勝つためにどんな動きが必要で、何を求められているのか。展開を見極めて、的確な判断を下さなければならない。別表（図２）に示した３人のＤＦ、田中マルクス闘莉王（25・日本代表／イエメン戦）、宮本恒靖(29・日本代表／’06年２月インド戦）、斎藤大輔(31・ジェフ千葉／’05年平均）の動きを示したデータには、各選手の特徴、チームの特徴がよく表われている。オシムの下で３年間戦ってきた斎藤は、プレーエリアを年々広げてきた。セットプレーばかりでなく、流れのなかからも攻撃参加し、ときにドリブル突破を仕掛けるほどである。斎藤に限らず、同じくジェフ千葉でセンターバックを務める結城耕造(27)も、オシムの指導によって攻撃参加が増えた。
「チャンスのときは、積極的に上がれと言われている。そのためには周囲の動きを見ないといけないし、自分で判断することが求められる。でも、練習や試合を通じて、繰り返して（攻撃参加を）することで自信も生まれてきた」（結城／’05年）
イエメン戦での闘莉王は、とくに後半になって積極的に攻撃参加していた。ときにポジションを上げることが批判される闘莉王だが、状況判断さえ間違えなければ問題はない。相手がゴール前を固めるなら、こちらはリスクを冒して最終ラインから攻撃を仕掛けてもいい。大事なのは、展開に応じて柔軟に対応することだ。
「前半はパスの出しどころがなく、足元へ大事にボールを繋ぎ過ぎた。もっと後ろからビルドアップしないといけなかった」（イエメン戦後の闘莉王）
「前半にボクが攻撃参加したとき、ヤット（遠藤保仁）のシュートまでつながったプレーがあった。そのプレーを指摘されて、『上がればチャンスになるのだから、積極的にいけ』とオシムから言われた」（イエメン戦後のＤＦ・坪井慶介）
一方で、宮本のプレースタイルである。チームが求めるスタイルがあるので一概には言えないが、イエメンと同じく守備を固めるインド代表を相手に、ほとんど攻撃参加ができなかった。最終ラインに限らず、ポジションに限らず、オシムが求めているのは、臨機応変な状況判断ができる選手なのだ。
自分で判断して動く??。オシムから示されたのは、簡単なようで、なかなか実行できないことだ。振り返ればこの４年間も、日本代表はジーコのもとで『自由な発想、判断力を必要とするサッカー』を目指してきた。しかし、自由な発想や判断力、運動量を具体的にどうレベルアップさせるかのアプローチがないまま、４年間が過ぎていった。結果として、集大成となるはずだったワールドカップドイツ大会においてグループリーグで敗退した。
▲オシムジャパン初戦のトリニダード・トバゴ戦。闘莉王はドイツＷ杯の代表では見られなかったオーバーラップを積極的に敢行した 強化ポイントが単に技術力や身体的な能力をあげることにとどまらないのは、オシムも前任者も同じである。しかし、オシムはサッカー選手が持っていなければならないベース（基礎）となる部分、「柔軟な判断ができて、勝利のために90分間しっかりと動けること」が重要だと訴えるだけでなく、具体的な数字で評価することが難しいこれら抽象的な分野の強化方法、練習方法をしっかりと持ち合わせている。いわば、ジーコが『鳴くまで待とう』のタイプだったのに対して、オシムは『鳴かせてみせよう』のスタイルなのだ。
新生・日本代表は、まだ産声をあげたばかりだ。活動期間が限られたなか、オシムはどんな言葉で、どんな練習で日本代表を目指す方向へと導いていくのか??。次戦は９月３日、アウェーで行われるアジアカップ予選のサウジアラビア戦だ。

 

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